[VOON] Dフルードmk-42
郷音「ジャッジャーン!新しい音仕入れてきたよ!ちょっと珍しいんだから聞いてってよ!」
華子「おーなんだなんだ?」
珠子「あら、またあのピカピカ光る蓄音機から何か流れるの?」
郷音「ふっふーん♪ あなたたちがどうやらかなり田舎の娘さんだって事は前回のライブで分かったわ。今回は曲じゃないけど、迫力にちょっとびっくりしちゃうかもね!ブッ倒れないでよ!」
華子「へぇ~ なんか随分凄そうだねぇ」
珠子「曲じゃないって事は、今から流れるのはなんなの?」
郷音「私がキャプチャーしてきた音・・・ええと、キャプチャーって言うのは、捕まえるって言う意味ね。音を捕まえるの」
華・珠「音を捕まえる??音って姿形がないのに捕まえられるの(か)?」
郷音「そ、このシンセがあれば可能なの。これは音を捕まえて料理する事ができる機械なのよ」
華・珠「ふ、ふーん・・・?」
郷音「あ、やっぱり全然ピンときてないわこの人たち。とりあえず聞けば分かるから!私がカラダを張ってキャプって来たエンジンの音を聞けーっ!」
華・珠「えんじん?って・・ !!!!!????ッッ!!!!???」
郷音「どう?凄いでしょー これはドルフィンフルードMk-42ってエンジンの音よ。あまりの大出力のために吸気・排気音の中に微かに聞こえる音がまるでイルカの鳴き声のように聞こえるでしょ?この音素材キャプるの大変だったんだよー もうカラダが吹っ飛ばされそうなのを耐えてやっとの思いで・・・しみじみ・・・って、わー!2人共大丈夫!?目回さないでー!」
*いきなり大きい音が出るのでご注意くださいまし
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[VOON] 2013_0217_幽谷夜汽車GT
最後の記事から約2年ぶり(驚
「ありゃりゃ?なんだか初めて見る顔が居るぞ?」
「あらホント、なんだか不思議な格好。そしてなにかしらあの不思議なハコ」
「うん、おかしな箱だな。なんだかピカピカ光ってるし色んなヒモが飛び出てる」
「気になるわね。なにかしら?なにかしら?」
「おわぁ、あ、あなたたち!勝手にシンセを弄くり回さないで!今からライブなんだからっ」
「らいぶ×2?」
「そうよっ 今から私、郷音・B・ホウダウン(さとね B ほうだうん)のシークレットライブ!」
「らいぶ ってなに?」
「ガクッ あなたたち、ライブも知らないの?ちゃんと21世紀生きてる?」
「そんなことよりらいぶってなんなの?」
「ホントに知らないみたいね・・・ ライブって言うのは、簡単に言えば皆で音楽を楽しむイベントの事よ」
「あー、貴族の茶会のアレか、清少納言とか言うねーちゃんが詩を詠んだりしてたアレか」
「蓄音機の音楽を皆で聞くのね」
「(せいしょうなごん?ちくおんき?この子たち一体何者なの?服装からしていわゆる歴女って子たちかしら・・・)・・・う、うんそうね、まぁ多分それで間違いないわ。で、今から私のライブなの。よかったら聞いてく?ちょうど手頃な素材が手に入って、今料理を終えた所だったんだ」
「おもしろそう!」
「フフ、そうこなくっちゃ!私の新しくてちょっぴり懐かしいライブ、楽しんでいってね!」
[VOON] 潮風トラベラー
目的地まで汽車の中で1夜を明かす、寝台夜行。
車窓を過ぎていく景色が千変万化し、旅人の目を楽しませます。
夕暮れから群青の世界へ移ろい、静かでちょっぴり怖い、幽谷の山々のシルエット。
真っ暗なトンネルを幾つも抜けると、遠くにゆらゆらと揺れるたくさんの灯りが見えた。
「なんだありゃ、人魂かな?」
「人魂って・・・あれは漁火よ、華。漁師が船で沖に出てるのね」
こんな夜中にかい?働きもんだねぇ、と華子。
髪留めに結ってある小さな鈴をリンと鳴らして、腕を組んでそれまで張り付いていた窓から離れる。
「妖怪友達から漁を生業とする人の事は聞かないの?」
珠子は向かいに座る赤髪の少女に、雲間から差し込んだ月明かりで水銀のように輝く銀髪をそっと耳に流し、翡翠色の目を優しく細めたずねる。
海に居る連中は、やれいつも出雲に神様が集まるの見れるのよとか、竜宮城に太郎さんを連れてって爺さんにしてやったわとか、そんなのばっかりだったからな。
しかも、うーんと昔話たっきり。
あたしがいっつも山ばっかりぶらぶらしてたからね。
魚を旨いんだけど、お酒が無くてなぁと頭の後ろで手を組み、足をブラブラと子供のように投げ出す。
それなら近いうちに行けばいいわ。華自慢のお酒を持って。喜ぶわよ、と微笑んで珠子は車窓に目を移す。
「あら、2人とも勿体無い。せっかく海に出たんだから窓を開けなさいな。よっと」
木張りの廊下に軽快な足音を響かせて戻ってきた詠子が窓に手をかけると、ふわっと夜の潮風が車内に流れ込み、3人の少女の髪をはらはらと遊ばせる。
「うふふ、あの漁火に追われた魚たちが、寝静まった頃に車内に入ってきたりしてね」
悪戯っぽく笑う詠子を、華子と珠子が首をかしげ目をぱちくりさせながら見やる。
パチンと指を弾くと、詠子がいつも灯り替わりに使っている、体の周囲をふわふわと飛ぶほのかな燐光が桜色に変化した。
線香花火のように、まるい燐光からはらはらと桜色の光がまるで花びらのように舞散る。
そこだけまるで小さな桜の木が出現したかのよう。
「私にとって夜の海に、漁火、桜貝ってちょっとしたノスタルジーなの。お魚を肴にするのは今度にして、今宵はこの風流を肴にお酒にしましょ」
4人掛けの客席に詠子は腰を下ろすと、3人は楽しくおしゃべりの続きを始めた。
地上に輝く星たちを片手に、汽車は汽笛と蒸気を残し、今日と明日のおぼろな境界をゆっくり越えて行くのでした。
*「はしれ、きたかぜ号」を読んだことがある人は懐かしいかも
[VOON] 小夜千鳥 その昔、笛とオルゴールが一緒になった不思議な楽器「天御輿」のために作られた楽曲。 途中から入ってくるオルゴールの音色が、笛の音と合わさって、夜な夜な囁く鳥の鳴き声にも聞こえる不思議な曲。